つぶやきより少しだけ長い何か。

忘れたくない感覚の記録

徳島の新定番。

もう20年近く前の話になるが、私が社会人としてスタートを切った街は、徳島だった。

 

徳島では車を持っていないと生活が不便なので、安い中古車とともに単身徳島に渡り、会社が休みの日には、初めての会社の同期といろんな場所にドライブに出かけた。

 

あの頃の不慣れな運転でも、運転が楽しかったことで記憶に残っているのは、鳴門海峡を縫って走る、県道183号、通称「鳴門スカイライン」と呼ばれる道路だ。

 

スカイラインは起伏に富んだ山道だけど、四国の山道の割には道幅がしっかり広くて、車も少ないので、運転が下手くそだった私でも、静かに運転に集中できて、いい気分転換になっていた。

 

スカイラインを数キロも登ると、すっと視界が抜けて、道の両側に海を望む四方見橋という高架橋に出る。その中間点には無料で駐車できる展望スポットがあって、静かなウチノ海をぼーっと眺めていられるのも、当時からお気に入りだった。

 

 

この四方見橋の展望台には、昔は古びたうどん屋くらいしかなかったのだけど、今では、ちょっと小洒落たお店ができている。「フレンチモンスター」という名前のお菓子工房だ。

 

www.frenchmonstar.com

 

アンティークな家具を所々に配した店内では、お店で作られたばかりの焼き菓子とともにコーヒーや、徳島名産のすだちを使ったレモネードなどを頂くことができる。

 

スカイラインの中間点という場所柄、人気が少ない中で、のんびりお茶できることもあって、「フレンチモンスター」は、最近徳島を訪れるときには大体立ち寄っている、すっかり定番のスポットとなってしまった。

 

 

徳島で海鮮を食べるときの、昔からの定番といえば「びんび家」というお店だ。先程の鳴門スカイラインを国道11号の側に抜けて、しばらく海沿いを走らせると、その店の看板は見えてくる。

 

びんび家は、噛み切るのに力が要るほどの活きの良い刺し身と、鳴門名産のワカメがたっぷり入った味噌汁が名物のお店で、休日は大体駐車場から車が溢れるほど賑わっている人気店だ。

 

 

だけど最近では、鳴門の海沿いまで足を伸ばさなくとも、街中で美味しい徳島の海産物がリーズナブルに味わえるお店もできつつあるようだ。

 

例えば、徳島市の沖洲にある「徳島新鮮なっとく市」という道の駅に併設されたレストラン「阿波の幸 和美彩美」では、徳島の地鶏である阿波尾鶏や海鮮を使ったランチが手頃な値段で頂ける。

 



写真にある伊勢海老が丸ごと一匹使われた天丼とお味噌汁のランチは、なんと二千五百円ほどと驚きのコスパだ。お店がある沖洲エリアは、宿泊でよく使っているホテルからも車でアクセスしやすいこともあり、このお店も徳島を訪れたときの私たちの新定番になった。

 

新社会人のときに徳島に住んでいた頃は、休みの日に自転車で徳島駅近くの商店街まで出かけて、買い物をしたりカフェで時間を潰したりすることも多かった。

 

ここ最近の地方都市では、駅前の商店街は郊外のショッピングモールの大型化に押されて、どこも衰退化の一途を辿っているが、徳島の商店街もその流れに逆らえず、新町川のボードウォークや東新町商店街にあったカフェや雑貨店も、随分数を減らしてしまったようだ。

 

けれど、毎月末の日曜日を狙ってこの場所を訪れると、かつてのような賑わいを再び垣間見ることができるかもしれない。なぜならこの日は「とくしまマルシェ」が開催されているからだ。

 

tokushima-marche.jp

 

とくしまマルシェは、地の生鮮品や加工品を売るお店の他に、徳島各地のスイーツの名店などもこぞって出店を出していて、それらを買いながらの食べ歩きが楽しいイベントだ。

 

 

20年前、新社会人のときに住んでいた徳島も、時代の流れを経て、いろんな場所が様変わりしてしまっているけれど、かつての土地勘を辿って再訪してみると、新しい発見や気づきがあって、その中から新しい自分的「新定番」が生まれている。

 

最近では、徳島に向かう手前にある淡路島が随分開発が進んでいて話題だけれど、もう一本、大きな橋を渡って徳島に渡ってみると、こちらはこちらで面白い場所が幾つかできつつあるので、興味を持たれた方は是非、もう一息足を伸ばしてみてほしい。