つぶやきより少しだけ長い何か。

忘れたくない感覚の記録

子どもに能の体験をさせた話。

再婚して、四人で暮らし始めたばかりの頃に、子どもに能の体験をさせた。

 

子どもが学校から持ち帰ったお知らせに体験の案内が入っていて、奥さんに「面白そうだし、教育にもよさそう!」と薦められて、お互いの子の分を一緒に申し込んだのだ。奥さんはこういう興味深いチラシを見逃さないのが、自分とは違うところだ。

 

体験会は、事前の講習を平日に2時間✕3日間分受けた後、週末の発表会で講習の成果を披露する、という短期集中な日程で行われる。平日の送迎は、普段ならきついけれど、お互い在宅ワークしていたのも幸いして、なんとか通わせることができた。

 

平日の講習では、短期間であるものの、発声の仕方から舞台の上での立ち回り、鼓の叩き方やリズムなど、能の基本となる要素をひと通り学びながら、入門者向けの短い一つの演目を仕上げていく。

 

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平日の送迎の合間に、講習の様子を少し覗いてみると、能という古風で難解な芸能の稽古にも、低学年の子どもたちは思った以上に真面目に取り組んでいた。長い歴史を経て作り上げられた型を一から学べる体験はなかなかないので、これはなるほど貴重だと感じた。

 

週末の発表会は、阪神西宮駅の近くにある「貞光能舞台」という会場で行われた。駅を降りて、福男選びで有名な西宮神社の方角へ歩き、一見普通の住宅に見える建物に入ると、外からは想像のつかない立派な能舞台が現れて、驚く。

 

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平日の講習でも講師の方の指導は厳しかったけど、発表会の方も非常に緊張感のある、厳かな雰囲気で行われた。それでも兄妹になったばかりの私たちの子は、習った要素を一つ一つこなしながら、見事なコンビネーションで演じきっていて、われわれは目を細めた。

 

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総じて大満足であったこの講習会は、文化庁の支援のもとで行われているらしく、費用もリーズナブルで、毎年参加しているリピーターも多いらしい。

 

取っ掛かりを掴んだ子どもたちも「来年も行きたい!」と乗り気だったのだけど、残念ながら今年度の回はコロナ禍もあって、まだ参加できていない。しかし、日本古来の文化を学べる貴重な機会なので、次の機会も見逃さないようにしたいと思う。