つぶやきより少しだけ長い何か。

忘れたくない感覚の記録

兵庫県多可町の森林公園で間伐の体験をした。

5月のよく晴れた過ごしやすい日曜日に、兵庫県の多可町という町にある森林公園で、間伐の体験をした。

 

間伐というのは、森に生えすぎた木を間引く目的で木を切り倒す作業のことで、間伐をすることで、森の中に入る光の量が増えて、森の動植物の生育環境が改善されたり、水の流れが良くなって土砂災害を防止できたり、いろいろと良いことがあるらしい。

 

間伐の作業は、切り倒した木の下敷きになろうものなら命を失いかねない危険なものだけど、この間伐体験は熟練のガイドの指導のもとで、実際に木を切り倒したり、切り倒した木の枝刈りをしてふもとへ運ぶ作業を体験できるとのこと。

 

兵庫県の山間部の、のどかな山道の中を車を走らせてたどり着いた目的地は、目の前にダムの湖畔が広がる静かな公園で、着いた途端、ほっと落ち着いた気分になる。

 

 

体験会が始まって、まずは簡単な講習のようなものがあるのかと思ったが、どうやらいきなり森の中に入っていくらしい。装備を身に着けている間に、山の中で遭遇する山ビルやスズメバチの話を聞かされて、先程ほっとしたのもつかの間、一転気を引き締めて、なるべく肌の露出を避けながら、山の中に足を踏み入れていく。

 

森の中を5分も歩くと、事前にガイドの方が今回間伐する木をマーキングしていたポイントにたどり着く。今回の間伐では、直径20センチほどのヒノキの木を切るらしい。木を切る作業に参加する我々は全員素人なので、危険な電動のこぎりは使わずに、子どもでも扱えるサイズののこぎりを使って切っていく。

 

 

作業の前に、木にのこぎりを入れる角度やのこぎりの扱い方を教えてもらって、実際に切る作業を代わる代わるやってみたけれど、正しい角度でのこぎりを入れるのは難しく、切っていくのには予想以上に力が必要で、2,3分も作業をしていたらあっという間に息が上がってしまった。

 

 

それでも大事なポイントを所々ガイドの方に手伝ってもらいながら、木を倒す方向と、その反対方向の二箇所に交代で切り込みを入れていったら、どうにか木は狙った方向に倒れてくれた。直径20センチとはいえ、高さは十数メートルある木が倒れたときの衝撃は凄まじく、日常ではなかなか体験し得ない迫力を感じた。

 

 

間伐の作業は、木を切り倒したらそれで終わり、ではなく、そこからさらに切り倒した木の枝を刈って、持ち運べるような長さまで切った後、ふもとまで運んでいく。

 

 

木を切り倒す作業もなかなか大変だったが、この運ぶ作業もかなりの重労働で、華奢に見えていた先程の木が、実はこれだけの重量があったのか、と驚かされる。それでも、比較的軽いものは肩に載せて運んだり、重いものはロープをつけて複数人で引っ張りながらなんとか全ての木材をふもとまで運び終えた。

 

 

ふもとまで持ち帰った木は、木の皮を剥がした状態で乾燥させた後、クラフト用の木材に加工されたり、プランターやベンチの材料になったりするらしい。皮を剥がした木の表面は、白くきれいで、まだ水でぐっしょり濡れており、まだ木が立っていた頃の生命を感じた。

 

体験会で経験したことの一つ一つが、経験したことないことばかりで、やってみようと思わなければ一生やらないかもしれない、貴重な体験を得られたこの体験会だったが、参加料はわずかに1人あたり100円であった(何らかの税金を使った事業なのかもしれない)。

 

奥さんはこの体験会のチラシを最寄りの図書館で見つけてきたらしいが、聞くところによると図書館にはネットで検索するだけではなかなか見つからない、面白そうな体験会や講演会のチラシがたくさん転がっているらしい。皆さんも地元の図書館にちょっと足を伸ばして、貴重な体験のタネを探しに行ってみるのも良いかもしれない。